判決全文
令和8年(し)第378号 保釈取消し決定及び保釈保証金の全部を没取する決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件令和8年5月29日 第三小法廷決定 主文 本件各抗告を棄却する。
理由
1 本件各抗告趣意のうち、判例違反をいう点について所論は、刑訴法96条2項に基づく保釈保証金没取決定を保釈取消し決定とは別の機会にすることができるとした原決定は、大阪高裁昭和27年(く)第28号同年9月6日決定・高刑集5巻10号1649頁と相反する判断をしたと主張する。 原決定が上記判例と相反する判断をしたことは、所論指摘のとおりである。
しかしながら、刑訴法96条2項は、保釈保証金を没取する実体的な要件を定めたものであって、その決定の時期を限定した規定とは解されず、そのほか保釈保証金没取決定を保釈取消し決定と同時にしなければならないと解すべき根拠はないから、同条1項の規定により保釈を取り消す場合には、保釈取消し決定の後であっても、保釈保証金没取決定をすることができると解すべきである。これと同旨の原決定は正当である。
したがって、所論引用の判例を変更し、原決定を維持するのを相当と認めるから、所論引用の判例違反は、原決定取消しの理由とならない。
2 その余の各抗告趣意について その余の各抗告趣意は、いずれも、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑訴法433条の抗告理由に当たらない。
3 よって、刑訴法434条、426条1項により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 ( 裁判長裁判官 沖野眞已 裁判官 林道晴 裁判官 渡辺惠理子 裁判官 石兼公博 裁判官 平木正洋)